金融業界に就職・転職したい人が持っておくべき資格7選|30社の求人を調査
金融業界には、銀行や証券会社、保険会社、資産運用会社、カード・決済会社など、幅広い企業と仕事があります。
一方で、「金融業界への就職・転職にはどの資格が必要なのか」「FPや簿記、証券外務員のうち、どれを取得すればよいのか」と迷う人も多いのではないでしょうか。
金融業界では、資格がなくても応募できる仕事がある一方、資産運用、金融商品の販売、会計・税務など、資格や試験合格を評価する仕事もあります。
本記事では、金融関連企業30社の公式求人を調査し、金融業務との結び付きや掲載企業数、掲載求人数などをもとに、就職・転職で活かしやすい資格を7個紹介します。
金融業界で資格は必要?
結論からいうと、金融業界で働くすべての人に共通して必要な資格はありません。
法人営業、商品企画、事業開発、システム開発など、資格がなくても応募できる仕事はあります。特に経験者採用では、資格よりも金融機関での実務経験や担当業務の実績を重視する求人も少なくありません。
一方、金融商品の勧誘・販売に関わる証券外務員や、会計・税務の専門職に関わる公認会計士・税理士など、資格と仕事内容が強く結び付くケースもあります。
また、資格が応募条件ではない場合でも、証券アナリストやFP、日商簿記などを持っていると、金融・会計に関する知識を説明しやすくなります。資格だけで実務経験を補えるわけではありませんが、目指す仕事に合った資格を選べば、就職・転職時の専門性を補強できます。

金融業界に就職・転職したい人が資格を選ぶポイント
金融資格は、知名度や難易度だけで選ぶものではありません。
個人向けの資産運用相談を担当するのか、企業分析や資産運用に関わるのか、会計・税務の専門職を目指すのかによって、適した資格は異なります。
ポイント1,目指す仕事に合った資格を選ぶ
まずは、金融業界の中でどのような仕事を目指すのかを考えましょう。
個人営業・ウェルスマネジメントを目指す場合
銀行や証券会社、保険会社で個人のお客さまへ提案する仕事では、FPや証券外務員が候補になります。
FPは、資産形成、保険、住宅、相続、税金などを横断して考える資格です。一方、証券外務員は、株式や債券、投資信託などの金融商品を勧誘・販売する業務と直接結び付きます。
資産運用・市場部門を目指す場合
ファンドマネージャー、アナリスト、リスク管理などを目指す場合は、証券アナリスト(CMA)やCFAが候補です。
国内の銀行・証券・保険・資産運用会社で幅広く活かしたい場合はCMA、海外運用やグローバル金融を目指す場合はCFAとの相性がよいと考えられます。
| 資格 | 活かしやすい仕事 |
|---|---|
| 証券アナリスト(CMA) | 企業分析、資産運用、信用審査、年金運用、リスク管理 |
| CFA | グローバル運用、海外事業、オルタナティブ投資、リスク管理 |
企業財務・会計・税務を目指す場合
企業の財務内容を分析する仕事では、日商簿記が基礎になります。
より専門性の高い会計・監査業務を目指す場合は公認会計士、税務や相続・事業承継を専門にしたい場合は税理士が候補です。
ポイント2,求人での扱いを確認する
同じ資格でも、求人によって扱いが異なります。
応募時点での保有を求める求人だけでなく、歓迎資格として評価する求人や、入社前・入社後の取得を認める求人もあります。
特に証券外務員は、未取得者でも応募でき、入社後の取得を求める求人を複数確認しました。資格名だけで判断せず、「応募時に必要なのか」「入社後取得でもよいのか」まで確認しましょう。
ポイント3,似ている資格の違いを確認する
金融資格には、名前や対象分野が似ていても役割の異なるものがあります。
FPは生活設計や資産形成を幅広く扱う資格ですが、証券外務員は金融商品の勧誘・販売に関わる資格です。証券アナリスト(CMA)とCFAも、投資分析を扱う点は共通していますが、国内求人との結び付きや国際性に違いがあります。
また、FP技能士は国家資格であり、AFP・CFPは日本FP協会が認定する資格です。求人票に記載された資格名や級まで確認することが大切です。
ポイント4,難易度と転職時期を考える
資格によって、取得までに必要な期間や実務経験は大きく異なります。
公認会計士、税理士、CFAなどは高い専門性を示せる一方、取得までに長期間を要する可能性があります。金融業界への転職だけを目的に、難関資格へすぐ挑戦することが最適とは限りません。
転職までの期間が限られている場合や新しく挑戦する場合は、日商簿記やFPなどから金融・会計の基礎を学び、入社後に証券外務員や上位資格を目指す方法もあります。
金融業界に就職・転職したい人が持っておくべき資格7選
ここでは、金融業界への就職・転職を目指す人におすすめの資格を7個紹介します。
一般的な語学・IT資格ではなく、金融業務との結び付きが強い資格を中心に整理すると、次のようになります。

- ランキングの根拠
-
資格会議編集部の独自調査で「調査対象:30社、取得求人:1,073職種、集計対象:1,004職種」を調べ、金融業務との直接的な結び付き、掲載企業数、掲載求人数、求人上での扱いなどを総合的に評価しています。
- 含める:銀行・信託、証券、保険、資産運用、カード・決済、リース、FinTech企業が公式中途採用ページで募集する国内の金融中核職
- 除外する:新卒、インターン、海外勤務地のみの求人、キャリア登録、カジュアル面談、仕事内容を確認できないオープンポジション、普通自動車運転免許
- 判断の境界:公式求人本文に資格名、試験名、級・レベルが明記されている場合に集計
- FP系:FP技能士・FP資格、AFP、CFPをまとめ、同一求人に複数が掲載されていても1求人として集計
- 日商簿記:「簿記2級程度の知識」など、求人が日商簿記を知識水準として明示した場合も集計
※2026年9月18日時点の公式採用情報です。同一求人に異なる資格が複数掲載されている場合は、それぞれに計上しているため、資格別の求人数は単純に合算できません。
※求人件数は企業ごとのページ分割や勤務地・職位別の掲載方法にも左右されます。また、公式ページの仕様により個別求人本文を同じ粒度で確認できなかった企業があるため、0件は「その企業が資格を評価していない」という意味ではありません。
1.証券アナリスト(CMA)
1つ目は、日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)です。
証券分析、財務分析、経済、ポートフォリオ・マネジメントなど、投資や企業分析に必要な知識を学ぶ資格です。本記事でいうCMAは、米国公認管理会計士を指すCMAとは異なります。
今回の調査では、11社・97求人で記載を確認しました。7資格の中で掲載企業数・求人数ともに最も多く、資産運用会社だけでなく、銀行、証券会社、保険会社などでも確認できます。
対象となる仕事は、企業・業界分析、信用審査、ファンド運用、年金運用、投資業務、リスク管理、M&A、ストラクチャードファイナンスなどです。個人向けの資産相談よりも、市場・運用・法人分析に関わる仕事を目指す人と相性があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載実績 | 11社・97求人 |
| 活かしやすい分野 | 企業分析、資産運用、信用審査、投資、リスク管理 |
| 目指せる職種例 | 証券アナリスト、ファンドマネージャー、審査担当、運用リスク管理 |

2.FP技能士・AFP・CFP
2つ目は、FP技能士・AFP・CFPです。
FPは、家計、保険、年金、税金、不動産、相続、資産運用など、個人のお金に関する幅広い知識を扱います。FP技能士は国家資格、AFP・CFPは日本FP協会が認定する資格であり、同じ資格ではありません。
今回の調査では、3つの資格群を合わせて8社・35求人で記載を確認しました。個人向け営業だけでなく、相続・事業承継、企業年金、代理店支援、ウェルスマネジメントなどにも対象が広がっています。
金融機関で個人のお客さまと接する仕事を目指す場合は、比較的仕事内容と結び付けて説明しやすい資格です。ただし、求人によってFP1級・2級・3級、AFP、CFPなど、求める水準が異なります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載実績 | 8社・35求人 |
| 活かしやすい分野 | 資産形成、保険、相続・事業承継、ウェルスマネジメント |
| 目指せる職種例 | ファイナンシャルアドバイザー、個人営業、相続コンサルタント |

3.証券外務員
3つ目は、証券外務員です。
証券外務員は、金融機関で株式、債券、投資信託などの金融商品を勧誘・販売する業務に関わる資格です。一種・二種があり、取り扱える商品の範囲が異なります。
今回の調査では、6社・49求人で記載を確認しました。掲載企業数はFPや日商簿記より少ないものの、証券会社や銀行の営業・資産運用相談と直接結び付く点を重視し、3位としています。
なお、試験に合格しただけで外務員として営業できるわけではありません。所属する金融機関を通じて外務員登録を受ける必要があります。入社後の取得を認める求人もあるため、未取得だから金融機関へ応募できないとは限りません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載実績 | 6社・49求人 |
| 活かしやすい分野 | 証券営業、資産運用相談、金融商品の勧誘・販売 |
| 目指せる職種例 | 証券営業、銀行の個人営業、ファイナンシャルアドバイザー |

4.日商簿記
4つ目は、日商簿記です。
日商簿記は、企業の取引を記録し、財務諸表から経営状況を把握するための会計知識を学ぶ検定です。金融業界専用の資格ではありませんが、企業の収益性や財務状態を読み取る基礎として活かせます。
今回の調査では、9社・20求人で記載を確認しました。経理・財務だけでなく、M&A、事業再生、企業審査、不動産ソリューション、資本政策などの求人でも簿記の知識を挙げています。
求人では日商簿記2級を中心に、1級・3級や「簿記2級程度の会計知識」とする記載も確認できます。金融業界の中で目指す職種をまだ絞り切れていない人にとって、比較的幅広い仕事へつなげやすい資格です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載実績 | 9社・20求人 |
| 活かしやすい分野 | 財務、会計、企業分析、融資審査、M&A |
| 目指せる職種例 | 財務企画、経理、審査担当、M&Aアドバイザー |

5.公認会計士
5つ目は、公認会計士です。
公認会計士は、監査・会計の専門家として、財務情報の信頼性を確認する監査証明を主な業務とする国家資格です。会計やコンサルティングなどに携わる公認会計士もいます。
今回の調査では、7社・18求人で記載を確認しました。財務企画、内部監査、引受審査、M&A、事業再生、富裕層向けコンサルティングなどで資格を評価しています。
金融業界でも高い専門性を示せますが、取得難易度は高く、一般的な銀行・証券営業を目指す人が就職だけを目的に取得する資格ではありません。会計、監査、財務、M&Aなどの専門職を目指す人に適しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載実績 | 7社・18求人 |
| 活かしやすい分野 | 会計、監査、財務企画、M&A、事業再生 |
| 目指せる職種例 | 内部監査、財務企画、引受審査、M&Aアドバイザー |

6.税理士
6つ目は、税理士です。
税理士は、税務代理、税務書類の作成、税務相談などを担う税務の専門家です。金融業界では、税務部門だけでなく、相続・事業承継や富裕層向けコンサルティングでも知識を活かせます。
今回の調査では、6社・17求人で記載を確認しました。銀行・証券会社では、企業オーナーや富裕層に対する相続、資産承継、ファミリービジネス支援などの求人が中心です。
税理士資格だけでなく、試験の科目合格や受験中であることを評価する求人も確認しています。一般的な金融営業よりも、税務、相続、事業承継などの専門分野を目指す人と相性がよい資格です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載実績 | 6社・17求人 |
| 活かしやすい分野 | 税務、相続、事業承継、富裕層向けコンサルティング |
| 目指せる職種例 | 税務担当、相続コンサルタント、事業承継アドバイザー |

7.CFA
7つ目は、CFA(Chartered Financial Analyst)です。
CFAは、投資分析、ポートフォリオ管理、資産運用、職業倫理などを扱う国際的な金融資格です。CFA Instituteは、投資運用やリスク管理、アセットマネジメントなどのキャリアにつながる資格として案内しています。
今回の調査では、6社・14求人で記載を確認しました。海外事業、M&A、グローバル資産運用、リスク管理、オルタナティブ投資など、国際性の高い専門職が中心です。
国内金融機関の求人ではCMAの方が幅広く確認できましたが、海外市場やグローバル運用を目指す場合はCFAが専門性を補強する材料になります。資格だけでなく、英語力や運用・分析の実務経験と組み合わせることが重要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載実績 | 6社・14求人 |
| 活かしやすい分野 | グローバル運用、海外事業、M&A、リスク管理 |
| 目指せる職種例 | ファンドマネージャー、投資アナリスト、運用リスク管理 |

まとめ
金融業界で資格を選ぶときに重要なのは、ランキング上位の資格を順番に取得することではありません。
個人向け営業、資産運用、企業分析、会計、税務など、目指す仕事によって必要な知識は変わります。まずは希望する職種の求人を複数確認し、繰り返し掲載されている資格や級を整理してみてください。
そのうえで、転職前に取得する資格と、入社後に実務経験を積みながら目指す資格を分けると、必要以上に遠回りすることを避けられます。
資格取得だけをゴールにせず、金融実務、顧客対応、財務分析、英語などの経験やスキルと組み合わせて説明できる状態を目指しましょう。
金融業界を目指す人によくある質問
- 金融業界で一番おすすめの資格は何ですか?
-
1つ挙げるなら、今回の調査で掲載企業数・求人数ともに多かった証券アナリスト(CMA)です。
ただし、個人向け営業ならFP、金融商品の販売なら証券外務員、経理・財務なら日商簿記など、目指す仕事によって適した資格は異なります。
- 資格なしでも金融業界へ転職できますか?
-
資格がなくても応募できる法人営業、商品企画、事業開発、システム関連などの求人はあります。
一方、金融商品の販売や会計・税務の専門職など、資格が業務と直接結び付く仕事もあります。未取得の場合は、入社後の資格取得を認める求人や資格取得支援制度のある企業も確認しましょう。
- FPと証券外務員の違いは何ですか?
-
FPは、資産形成、保険、年金、税金、相続など、生活設計に関する幅広い知識を扱います。
証券外務員は、金融機関で株式、債券、投資信託などを勧誘・販売する業務に関わる資格です。金融商品を販売する仕事を目指す場合は、証券外務員の方が業務と直接結び付きます。
- CMAとCFAの違いは何ですか?
-
CMAは、日本証券アナリスト協会が認定する資格で、国内の銀行、証券、保険、資産運用会社などの求人で幅広く確認しました。
CFAは国際的な投資資格で、海外運用やグローバル金融との相性があります。国内金融機関を中心に目指す場合はCMA、海外市場や外資系金融機関も視野に入れる場合はCFAが候補です。

