国家資格のオンライン化は22資格で利用開始|108資格が準備中
2026年9月1日、デジタル庁は、8月6日に開催した「第4回政策評価・行政事業レビュー有識者会議」の資料を公開しました。
資料によると、2026年7月時点で22の国家資格等がオンライン化に対応し、残る108資格等も利用開始に向けて準備を進めています。
本記事では、現在オンラインで手続きできる資格やマイナポータルで利用できる機能、デジタル庁が新たに重視する利用実績について、公式資料をもとに解説します。

国家資格のオンライン化は22資格で利用開始
デジタル庁は、国家資格に関する申請や資格情報の確認をオンラインで行える「国家資格等情報連携・活用システム」を運用しています。
2024年8月6日から対象資格のオンライン化を順次開始しており、2026年7月時点の状況は次のとおりです。

デジタル庁が「現在手続が可能な資格」として掲載しているのは、次の22資格等です。
- 介護福祉士
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士
- 公認心理師
- 社会保険労務士
- 保険医
- 保険薬剤師
- 税理士
- 建築基準適合判定資格者
- 構造計算適合判定資格者
- 建築物環境衛生管理技術者
- 行政書士
- 司法試験予備試験
- 海技士
- 小型船舶操縦士
- 労働安全衛生法による免許(20種)
- 司法試験
- 給水装置工事主任技術者
- キャリアコンサルタント
- 技能講習修了証(69種)
- 技能士(都道府県知事が実施している職種)
- 中小企業診断士
ただし、「利用開始」は、その資格に関するすべての手続きがオンライン化されたことを意味するものではありません。
例えば、行政書士と給水装置工事主任技術者は、マイナポータルとの利用設定を受け付けている段階です。司法試験と司法試験予備試験は受験申請、税理士は税理士登録事前届など、オンライン化されている手続きは資格によって異なります。
国家資格の手続きはどう変わる?
国家資格のオンライン手続きを利用できるのは、電子証明書が有効なマイナンバーカードを持ち、対象資格を保有している人です。
マイナポータルでマイナンバーカードと資格情報を連携する初期設定を行うと、対象となる申請や資格情報の確認ができるようになります。
申請書類をオンラインで提出
対応する資格では、新規登録や氏名・住所の変更、登録証の再交付などをマイナポータルから申請できます。
資格によっては受験申請や登録の更新、休止、再開、登録抹消などもオンライン化されています。申請状況や資格管理団体からのお知らせも、マイナポータル上で確認できます。
手数料をオンラインで支払い
オンライン決済に対応した手続きでは、申請に必要な手数料をオンラインで支払えます。
デジタル庁の調達仕様書では、次の決済方法への対応が示されています。
- クレジットカード
- 国際ブランド付きデビットカード
- 二次元コード決済
- ペイジー
クレジットカードは、Visa、Mastercard、JCB、Diners Club、American Expressに対応しています。ただし、実際に利用できる決済方法は、資格や手続きによって異なります。
申請書類の提出から支払いまでをオンラインで進められるため、資格管理団体の窓口へ出向いたり、書類を郵送したりする負担を減らせます。
住民票や戸籍の添付を省略
マイナンバーを利用して住民基本台帳ネットワークや戸籍関係情報と連携することで、住民票や戸籍の写しなどの取得・添付を省略できる場合があります。
婚姻や引っ越しなどによって氏名や住所が変わった場合の手続きも簡略化されます。ただし、利用できる情報連携や省略できる書類は資格によって異なります。
デジタル資格者証を取得
資格情報をマイナポータル上で確認し、デジタル資格者証として表示・出力することもできます。
一方、オンライン化の開始後も、従来の紙による申請は引き続き利用できます。資格保有者がオンラインと紙のどちらで手続きするか選択できる仕組みです。
資格数だけでなく実際の利用状況も評価へ
有識者会議では、システムを導入した資格数だけでなく、オンライン申請などで実際に利用された件数を重視するよう求めました。
これを受け、デジタル庁は、オンライン申請件数やマイナンバーを使った情報連携件数を成果指標として活用する考えです。
2025年度は4万7,680件をオンライン申請
デジタル庁が2026年4月の有識者会議で説明した内容によると、2025年度のオンライン申請件数は、当初目標の3万6,000件に対して4万7,680件でした。
この数字は、2025年度までに利用を開始していた21資格の合計です。利用件数の多い上位資格では、申請全体の約5割が同システムを通じたオンライン申請だったとしています。
一方、デジタル庁は、システム全体の利用実績を十分に把握できていないことも認めています。
マイナンバー情報連携件数をKPIへ
これまでの成果指標には、システムを利用できる資格数を示す「利用資格件数」と、オンラインで行われた申請数を示す「利用件数」が設定されていました。
デジタル庁は、これらに「マイナンバー情報連携件数」を新たに加える考えです。

マイナンバー情報連携件数を確認することで、資格保有者が住民票や戸籍の写しを取得・添付せずに済んだ件数を把握できます。
有識者会議は、申請1件当たりのコストや、資格保有者・資格管理者の負担がどの程度減ったのかについても、可能な限り数値で示すよう求めています。
さいごに
国家資格等のオンライン化は130資格等を対象としていますが、2026年7月時点で利用を開始しているのは22資格等です。残る108資格等は、準備が整ったものから順次利用を開始します。
また、対象資格であっても、オンライン化されている手続きの範囲はそれぞれ異なります。「22資格すべての手続きをオンラインで完結できる」という状況ではありません。
今後は、利用できる資格数だけでなく、オンライン申請件数や住民票・戸籍の添付を省略できた件数も評価され、制度を導入した数から、資格保有者や資格管理者が実際に受けた負担軽減まで測る段階へ移ります。
