日商簿記3級と2級の違いは?難易度・試験範囲・勉強時間を比較
日商簿記3級と2級の大きな違いは、商業簿記で扱う内容の広さと、工業簿記が出題されるかどうかです。
どちらから学ぶか迷ったときは、現在の知識や資格を取る目的に合わせて、自分に合う学び始め方を考えましょう。
初めて簿記を学ぶ方
3級 の内容から学ぶ
仕訳・決算の基礎を身に付ける
3級の知識がある方
2級 を次の目標に
経理の専門性をさらに高める
本記事では、簿記3級と2級の違いを試験範囲・難易度・勉強時間・受験料から比較し、仕事で活かせる知識や、どちらから受けるかの判断方法まで解説します。
簿記3級と2級の違いを比較
日商簿記3級と2級では、出題範囲や試験時間、受験料が異なります。
まずはそれぞれの基本条件を比較し、取得の目的や現在の知識に合う級を選ぶためのポイントを確認しましょう。
試験科目・時間・合格基準
3級は商業簿記の基礎を学び、2級ではより高度な商業簿記と工業簿記を扱います。合格基準は共通ですが、学習範囲や試験時間、受験料には違いがあります。
| 比較項目 | 簿記3級 | 簿記2級 |
|---|---|---|
| 試験科目 | 商業簿記 | 商業簿記・工業簿記 (原価計算を含む) |
| 学習水準 | 基本的な商業簿記 | より高度な商業簿記と工業簿記 |
| 大問数 | 3題以内 | 5題以内 |
| 試験時間 | 60分 | 90分 |
| 合格基準 | 70点以上 100点満点 | 70点以上 100点満点 |
| 受験料 税込 | 3,300円 | 5,500円 |
| 下位級の合格 | 不要 | 3級の合格は不要 |
※ネット試験のインターネット申込方式では、別途550円(税込)の事務手数料がかかります。その他の申込方法は、各会場の案内をご確認ください。
2級は、商業簿記と工業簿記の両方を90分で解く必要があります。
模擬問題では、問題ごとにかかった時間も記録し、解く順番や見直しに使う時間まで含めて練習しましょう。
受験料と受験方法
ネット試験のインターネット申込方式では、手数料を含めた総額が3級3,850円、2級6,050円(税込)になります。
申込方法や会場によって手数料が異なるため、申し込み先の案内で支払総額を確認しましょう。
3級・2級ともに、紙で解答する統一試験と、会場のパソコンで解答するネット試験を選べます。同じ級であれば、両方式の出題範囲・難易度・合格基準は同じです。
受験日程や解答方法との相性を踏まえて、受験方式を選びましょう。具体的な違いや当日の流れは、簿記のネット試験を解説した記事で紹介しています。

試験範囲はどう違う?
2級では、3級で学ぶ仕訳や決算の基礎をもとに、より複雑な会計処理を学びます。
商業簿記で扱う内容の広がりと、新たに加わる工業簿記に分けて、試験範囲の違いを確認しましょう。
商業簿記は2級で扱う内容が広がる
3級では、商品売買や現金・預金の記録、売掛金・買掛金の管理、決算整理などを学びます。日々の取引を帳簿に記録し、決算書にまとめるまでの流れを理解することが基本です。
2級では、この基礎に加えて、外貨建取引や税効果会計、連結会計などを扱います。
例えば連結会計では、親会社と子会社を一つの企業集団と捉え、グループ内の商品売買による売上・仕入を相殺するなどの調整を行います。
なお、3級でも株式会社の設立や剰余金の配当を学びます。
「3級は個人商店、2級は株式会社」と単純に分けず、扱う取引の範囲や会計処理の複雑さに注目すると、学習内容の違いを理解しやすくなります。
2級では工業簿記が加わる
工業簿記では、材料費・労務費・経費など、製品を作るためにかかった費用を集計し、製品の原価を求めます。
完成した製品と製造途中のものに費用を分けるなど、製造の流れに沿って記録・計算する点が特徴です。
例えば、同じ製品を10個作り、すべて完成した場合の原価を計算してみましょう。
| 費用・計算項目 | 金額 |
|---|---|
| 材料費 | 5,000円 |
| 労務費 | 2,000円 |
| 経費 | 1,000円 |
| 製造原価の合計 | 8,000円 |
| 製品1個当たりの原価 | 800円 8,000円 ÷ 10個 |
※同じ製品10個がすべて完成し、期首・期末の仕掛品(製造途中のもの)や、ほかの費用はないものとします。
出典:日本商工会議所「出題区分表」「2級 試験科目・注意事項」。計算例は本記事独自のものです。
学習では、材料の購入から製品の完成まで、費用がどのように動くかを図やメモで整理しましょう。
問題文の状況と勘定のつながりを確認すると、仕訳や計算の意味を理解しやすくなります。
2027年4月以降は対応教材を確認する
本記事の試験範囲は2026年度を基準にしています。2027年4月1日からは、2級・3級ともに改定後の出題区分表が適用されるため、受験時期に対応した教材を選びましょう。
また、2027年4月1日からは3級の配点も変更されます。改定前後の違いは次のとおりです。
| 問題 | 改定前 2027年3月まで | 改定後 2027年4月から |
|---|---|---|
| 第1問 | 45点 | 45点 |
| 第2問 | 20点 | 25点 (+5点) |
| 第3問 | 35点 | 30点 (−5点) |
合格基準は引き続き100点満点中70点以上です。この配点変更は3級のみが対象で、2級の配点・出題形式は変わりません。
難易度と合格率の違い
2級は、3級よりも学習範囲が広く、仕訳や計算も複雑になります。
合格率に加え、学ぶ内容やつまずきやすい点も比較し、今の知識や学習経験に照らして、どのような準備が必要かを確認しましょう。
同じ期間・方式の合格率を比べる
3級と2級の合格率は、同じ期間・試験方式にそろえて比較しましょう。 まずは2025年度(2025年4月~2026年3月)のネット試験の結果を確認します。
| 級 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 3級 | 276,477名 | 112,797名 | 40.8% |
| 2級 | 141,072名 | 46,351名 | 32.9% |
※2025年4月~2026年3月のネット試験のみの集計です。統一試験・団体試験は含みません。
出典:日本商工会議所「受験者データ」。
続いて、2026年4~6月のネット試験と、第173回統一試験の結果を確認します。いずれも、同じ期間・試験回では2級の合格率が3級を下回っています。
| 試験方式・期間 | 簿記3級 | 簿記2級 |
|---|---|---|
| ネット試験 2026年4~6月 | 44.5% | 31.9% |
| 統一試験(第173回) 2026年6月14日 | 33.8% | 15.1% |
※ネット試験は3か月間の集計、統一試験は1回分の結果です。
出典:日本商工会議所「受験者データ」。
受験者の学習経験や準備状況は異なるため、合格率だけで「2級は3級の何倍難しい」と判断することはできません。
数値は目安とし、出題範囲や問題の内容もあわせて確認しましょう。
2級では条件を整理して解く力が必要
2級では、連結会計や原価計算などで複数の資料・条件を整理し、必要な処理を判断する場面が増えます。
3級で学ぶ仕訳や決算の基礎を、新しい取引や計算に結び付ける力が求められます。
復習では、なぜその仕訳や計算になるのかを、自分の言葉で説明できるかを確認しましょう。
理解できたら、条件の異なる問題にも取り組み、解答を見ずに処理の順番を考えて、最後まで解く練習につなげてください。
3級の段階でつまずきやすい点は、簿記3級の難易度・合格率を解説した記事で詳しく紹介しています。

勉強時間はどれくらい違う?
簿記3級・2級の勉強時間は、これまでの学習経験や学習方法によって変わります。
初学者向けか、3級の知識がある人向けかといった目安の前提も確認し、自分が確保できる時間に合わせて学習計画を立てましょう。
2級は3級の知識で目安が変わる
資格の学校TACが紹介する勉強時間を、受験する級・学習経験別に整理しました。2級は、3級の知識がある人と、簿記初心者が独学する場合で目安が異なります。
| 級・学習経験 | 勉強時間 TACの目安 | 週10時間 で学ぶ場合 |
|---|---|---|
| 3級 | 80〜100時間 | 8〜10週間 |
| 2級 3級の知識がある人 | 200〜250時間 | 20〜25週間 |
| 2級 簿記初心者(独学) | 300〜350時間 | 30〜35週間 |
※週数は、勉強時間を週10時間で割った本記事の計算例です。合格者の平均学習期間を示すものではありません。
勉強時間は学習方法や理解度によって変わるため、表の数字は学習計画を立てる目安として使いましょう。
2級の200〜250時間は、3級の知識がある人が対象で、初心者が基礎から学ぶ総時間とは異なります。
以前3級に合格していても、仕訳や決算整理を忘れている場合は復習が必要です。今の理解度を確かめ、苦手な範囲を補う時間も予定に含めてください。
週に確保できる時間から計画する
まずは、仕事や学校の予定を踏まえ、毎週無理なく確保できる学習時間を決めましょう。
例えば、平日は1日1時間を5日、土日は合計5時間で、週10時間になります。勉強時間の目安と照らし合わせ、受験までの期間に余裕を持たせて計画を立ててください。
計画には、テキストを読む時間に加え、問題演習や復習に使う時間も含めましょう。
2級では商業簿記と工業簿記の進み具合を定期的に確認し、片方の演習が不足しないよう、理解度に応じて時間配分を調整することが大切です。
3級から独学を始める方は、簿記3級の独学方法や参考書・問題集の選び方も参考にしてください。
仕事で活かせる知識の違い
目指す級を選ぶ際は、難易度や勉強時間に加え、学んだ知識を仕事でどう活かしたいかも考えましょう。
3級で学ぶ取引や決算の基礎と、2級で扱うより複雑な会計処理・原価計算を、業務での活用場面から比較します。
3級は会計の基礎を身に付ける
3級では、仕訳や決算の基礎を学び、日々の取引を帳簿に記録する仕組みを理解していきます。
経理業務に加え、営業や一般事務などで売上・費用の意味を理解し、社内の会計資料を読む際の土台にもなります。
例えば、商品を売ってその場で代金を受け取る場合と、以前の売掛金を回収する場合では、仕訳が異なります。
売上の発生と代金の回収を区別して考えることは、取引内容や入金記録を正しく理解する助けになります。
2級は会計処理や原価への理解を深める
2級では、より高度な商業簿記と工業簿記を学び、製品の原価や企業グループ全体の会計への理解を深めます。
原価の内訳を把握したり、財務諸表の数字から経営内容を読み取ったりする際に役立つ知識です。
経理職を目指す場合は、応募したい求人の資格条件と担当業務を確認しましょう。
2級の取得は知識を示す一つの材料になりますが、実務では会計ソフトの操作や勤務先ごとの処理手順も必要です。 学んだ内容を実際の業務と結び付けていくことが大切です。
簿記3級と2級はどちらから受ける?
簿記を初めて学ぶ方は、3級の内容から始めると基礎を固めやすくなります。
3級に合格していなくても2級は受験できるため、現在の理解度と取得目的に合わせて、受験する級を選びましょう。
| 状況・目的 | 進め方の目安 |
|---|---|
| 初めて簿記を学ぶ | 3級の基礎から学び、まずは3級合格を目指す |
| 仕事で会計の基本を理解したい | 3級で基礎を学び、業務に必要な知識に応じて2級を検討する |
| 3級の仕訳・決算を自力で解ける | 2級の商業簿記・工業簿記の学習へ進む |
| 応募先などで2級取得が求められる | 3級の基礎を固めてから、2級だけを受験する方法も検討する |
※進め方は、学習経験や取得目的を踏まえた編集部の目安です。
受験資格の出典:日本商工会議所 「日商簿記検定試験Q&A」
2級だけを受験する場合も、3級相当の基礎知識を身に付けておくことが大切です。
仕訳や決算の問題を解いて理解度を確かめ、必要な範囲を復習してから2級の学習へ進みましょう。
初心者は3級の基礎から学ぶ
借方・貸方や勘定科目を初めて学ぶ人は、3級の内容から始めましょう。仕訳のルールを理解し、帳簿と決算書のつながりを押さえることが、2級の学習にもつながります。
学習を続けられるか不安な場合は、3級合格を最初の目標にすると区切りを付けやすくなります。受験を通して、時間を測って問題を解く練習や、試験当日の進め方も経験できます。
最終目標が2級であっても、3級の学習が遠回りになるわけではありません。基礎を理解できているかを確認しながら進めましょう。
3級の知識がある人は2級を目指す
3級の仕訳や決算の問題を自力で解ける人は、2級の学習へ進むことを検討できます。
始める前に3級の総合問題を解き、説明を見なければ処理できない分野が残っていないか確認しましょう。
2級では、商業簿記の新しい内容と工業簿記の基礎に、それぞれ学習時間を確保します。3級で理解した仕訳の考え方がどのように使われるかを意識すると、知識をつなげやすくなります。
反対に、3級の内容をほとんど忘れている場合は、必要な部分を復習してから進むほうが、2級の解説を理解しやすくなります。
3級の受験を省いて2級に進む選択もできる
CBT-Solutionsの案内では、日商簿記の受験資格は「どなたでも受験可能」とされています。3級の合格証がなくても、2級に申し込めます。
そのため、3級の内容を理解したうえで、受験する級を2級に絞ることも可能です。例えば、応募先が2級を求めており、基礎から学ぶ時間も確保できる人には選択肢になります。
ただし、3級の試験を受けないことと、3級の学習を省くことは同じではありません。初めて簿記を学ぶ人が2級を直接目指す場合も、教材が3級の基礎から扱っているか確認してください。
まとめ
簿記3級と2級の主な違いは、商業簿記の学習範囲と工業簿記の有無です。2級では学ぶ内容が広がるため、問題演習や復習の時間も見込んで学習計画を立てましょう。
初めて簿記を学ぶ方は3級の基礎から、すでに3級相当の知識がある方は2級を次の目標にするとよいでしょう。
今の理解度や資格を取る目的に合わせて、受験する級と学習の進め方を選んでください。
資格を活かして転職したい方は、転職の専門家に相談できる「資格会議」のサービスを、下の案内からご確認ください。
簿記3級と2級の違いに関するよくある質問
- 簿記2級は3級の何倍難しいですか?
-
難しさを一律に何倍と表すことはできません。2級では商業簿記の範囲が広がり、工業簿記も加わります。合格率や勉強時間の目安だけでなく、自分が3級の内容をどこまで理解しているかも確認しましょう。
- 簿記3級を飛ばして2級を受験できますか?
-
できます。2級の受験に3級合格は必要ありません。ただし、2級の学習には仕訳や決算などの基礎が必要なため、初心者は3級の内容から学びましょう。
- 3級と2級を両方取る意味はありますか?
-
段階的に理解度を確認し、学習の区切りを付けたい人には意味があります。一方、3級の内容を理解していて2級取得が目的なら、受験は2級に絞る方法もあります。受験料と目標時期も踏まえて決めましょう。
- 経理の仕事を目指すなら2級が必要ですか?
-
必要な資格は求人によって異なります。2級が応募条件なら取得が必要ですが、すべての経理職に共通する条件ではありません。希望する求人の資格欄と担当業務を確認し、求められる知識や経験に合わせて目標を決めましょう。
参考資料
- 日本商工会議所:簿記3級
- 日本商工会議所:簿記2級
- 日本商工会議所:出題区分表
- 日本商工会議所:2027年度以降の日商簿記3級試験問題の配点について
- 日本商工会議所:2級・3級受験者データ(ネット試験)
- 日本商工会議所:3級受験者データ(統一試験)
- 日本商工会議所:2級受験者データ(統一試験)
- CBT-Solutions:日商簿記
- TAC:簿記3級とは?難易度・合格率・必要勉強時間と効果的な学習法
- TAC:簿記2級合格に必要な勉強時間は?
この記事は参考になりましたか?
