電気業界に就職・転職したい人が持っておくべき資格7選|30社の求人を調査
電気業界には、建物や工場の電気設備工事から、発電所・変電所の建設、設備の運転・保守まで、社会インフラを支える幅広い仕事があります。
一方で、「電気業界への就職・転職にはどの資格が必要なのか」「未経験なら何から取得すればよいのか」と迷う人も多いのではないでしょうか。
電気業界では、資格がなくても応募できる仕事がある一方、担当する業務によっては資格が応募条件や歓迎要件になります。
本記事では、電気設備・発電設備の工事・保守に関わる企業30社の公式求人を調査し、掲載企業数と求人数をもとに、就職・転職で活かしやすい資格を7個紹介します。
電気業界で資格は必要?
結論からいうと、電気業界で働くすべての人に共通して必要な資格はありません。設計、研究開発、営業、調達など、資格がなくても応募できる職種はあります。
一方、電気工事や電気設備の保安監督など、資格と担当業務が直接結び付く仕事も少なくありません。電気主任技術者や電気工事士など、法律上の選任や作業範囲に関わる資格もあります。
また、資格が必須ではない求人でも、電気工事施工管理技士やエネルギー管理士などを歓迎要件として挙げるケースがあるため、資格を持っていることで、電気設備や安全管理に関する知識を説明しやすくなります。
資格だけで実務経験を補えるわけではありませんが、目指す仕事に合った資格を選べば、応募できる求人を増やしたり、就職・転職時の専門性を補強したりできます。

電気業界に就職・転職したい人が資格を選ぶポイント
電気業界の資格は、知名度や難易度だけで選ぶものではありません。
工事を担当するのか、設備を管理するのか、工事全体を監督するのかによって、必要な資格が異なります。
ポイント1,目指す仕事に合った資格を選ぶ
まずは、電気業界の中でどのような仕事を目指すのかを決めましょう。
資格名が似ていても、担当できる業務や評価されやすい職種は異なります。
電気設備の施工を目指す場合
配線や電気機器の設置など、現場で電気工事を担当したい場合は、電気工事士が候補になります。
工事の工程や品質、安全を管理する立場を目指す場合は、電気工事施工管理技士が適しています。
| 資格 | 活かしやすい仕事 |
|---|---|
| 電気工事士 | 配線工事、設備設置、改修、点検、保守 |
| 電気工事施工管理技士 | 電気工事の工程・品質・安全管理、現場調整 |
発電設備や受変電設備の保守を目指す場合
発電所、変電所、工場、プラントなどの電気設備を安全に運用する仕事では、電気主任技術者が活かしやすい資格です。
省エネ改善やエネルギー使用量の管理に関わりたい場合は、エネルギー管理士も候補になります。
設計や技術コンサルタントを目指す場合
設備設計、技術審査、工事計画、技術コンサルティングなどの上流工程では、技術士が専門性を示す材料になります。
ただし、技術士には電気電子部門、建設部門、機械部門などがあるため、求人が求める部門まで確認することが大切です。
海外プロジェクトを目指す場合
海外メーカーとの調整や英文仕様書の確認、海外発電プロジェクトなどに関わりたい場合は、TOEICが英語力を示す目安になります。
ただし、TOEICだけで電気分野の専門性を示せるわけではありません。電気主任技術者、技術士、施工管理技士などの技術資格や実務経験と組み合わせることが重要です。
ポイント2,資格で担当できる業務を確認する
電気業界では、資格によって担当する役割が異なります。
電気工事士は、配線や設備設置などの電気工事を行うための資格で、電気主任技術者は、事業用電気工作物の工事・維持・運用に関する保安を監督します。
一方、電気工事施工管理技士は、電気工事の工程・品質・安全などを管理する資格であり、自ら配線工事を行うための資格ではありません。
| 資格 | 主な役割 |
|---|---|
| 電気工事士 | 電気工事を直接行う |
| 電気主任技術者 | 電気設備の保安を監督する |
| 電気工事施工管理技士 | 電気工事全体を管理する |
名前だけで判断せず、取得後にどの業務を担当できるのかまで確認しましょう。
ポイント3,資格の種類や級を確認する
同じ資格でも、種類や級によって担当できる設備や役割が変わります。
電気主任技術者には第一種・第二種・第三種があり、それぞれ保安監督できる電気設備の範囲が異なります。電気工事士も第一種と第二種で作業できる範囲が同じではありません。
また、電気工事施工管理技士と土木施工管理技士には1級・2級があり、第一次検定だけに合格した場合は「施工管理技士補」となります。
求人票に資格名だけでなく、種別や級、実務経験、選任経験などが書かれていないか確認することが大切です。
ポイント4,取得条件と転職時期を考える
資格によって、受検条件や免状交付に必要な実務経験が異なります。
転職までの期間が限られている場合は、取得に長い実務経験が必要な資格だけに絞らず、現在の経験から挑戦できる資格を選びましょう。
未経験から現場の電気工事を目指す場合は第二種電気工事士、設備の保安や管理に関心がある場合は第三種電気主任技術者が候補になります。
施工管理や高度な技術職を目指す人は、入社後に実務経験を積みながら、施工管理技士や技術士などの上位資格を目指す方法もあります。
電気業界に就職・転職したい人が持っておくべき資格7選
ここでは、電気業界への就職・転職を目指す人におすすめの資格を7個紹介します
資格会議編集部では、電気設備・発電設備の工事・保守に関わる企業30社を対象に、採用ページに掲載された国内求人1,260件を調査しました。結果、次にようになります。

- ランキングの根拠
-
資格会議編集部の独自調査で、「調査対象:30社 取得求人:1,294職種 集計対象:1,260職種」を調べた中で、電気業界の企業が求人で明示している資格を、掲載企業数・掲載求人数などをもとにランキングにしています。
・含める:発電・送配電・系統運用、再生可能エネルギーの開発・O&M、電気・電子・制御、電気設備・発電設備の施工管理、プラント設計、設備保全、品質・安全、IT・デジタル、事業開発・営業、コーポレートなど、調査対象30社が公式中途採用ページで募集している国内求人
・除外する:海外勤務地のみの求人、新卒・インターン、採用セミナー、キャリア登録、カジュアル面談、個別の仕事内容を確認できないオープンポジションなど
・判断の境界:公式求人本文に資格名・試験名・TOEICスコアが明記されている場合のみ集計し、一般的な英語力をTOEIC、一般的な電気の知識や経験を電気主任技術者として置き換えない※2026年9月16日時点の公式採用情報を集計しています。同一求人は求人ID単位で重複を除いていますが、1件の求人に複数の資格が掲載されている場合は、それぞれに計上しています。
※普通自動車運転免許は、電気業界に限らず幅広い職種で使用されるため、今回のランキングから除外しています。
1.電気主任技術者
1つ目は、電気主任技術者です。
電気主任技術者は、発電所や変電所、工場、ビルなどに設置された事業用電気工作物の工事・維持・運用について、保安を監督するための国家資格です。
今回の調査では、17社・105求人で電気主任技術者の記載を確認しました。特定の企業や職種だけに偏らず、発電・送配電、電気工事、設備保全、再生可能エネルギーなど、幅広い分野で確認できた点が特徴です。
第一種・第二種・第三種で保安監督できる設備の範囲が異なるため、求人によって求める種別も変わります。また、電気工事を直接行う電気工事士とは役割が異なる点にも注意が必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載実績 | 17社・105求人 |
| 活かしやすい分野 | 発電設備、受変電設備、電気保安、設備保全 |
| 目指せる職種例 | 電気主任技術者、設備保全、O&Mエンジニア、電気設備管理 |

2.電気工事施工管理技士
2つ目は、電気工事施工管理技士です。
電気工事施工管理技士は、電気設備工事の施工計画を立て、工程・品質・安全などを管理する国家資格です。電気工事士が現場で工事を行う資格であるのに対し、電気工事施工管理技士は工事全体を管理します。
今回の調査では、17社・86求人で記載を確認しました。建物の電気設備工事だけでなく、発電所、受変電設備、プラント、再生可能エネルギー設備などの施工管理でも活かしやすい資格です。
1級と2級があり、担当する工事や配置要件によって必要な級が異なります。第一次検定だけの合格者は施工管理技士補となるため、求人が「技士」と「技士補」のどちらを求めているのかも確認しましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載実績 | 17社・86求人 |
| 活かしやすい分野 | 電気設備工事、発電設備工事、改修工事、再エネ設備 |
| 目指せる職種例 | 電気工事施工管理、現場代理人、工事計画、工事責任者 |

3.電気工事士
3つ目は、電気工事士です。
電気工事士は、住宅やビル、工場などで、配線や電気設備の設置・改修を行うための国家資格です。現場で電気工事を直接担当したい人と相性があります。
今回の調査では、15社・59求人で記載を確認しました。電気工事の施工だけでなく、発電設備や風力発電設備の点検・保守、フィールドサービスなどでも資格を活かせます。
第一種と第二種では作業できる設備の範囲が異なります。未経験から電気工事の仕事を目指す場合は、住宅や小規模施設の電気工事に対応する第二種電気工事士が最初の候補になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載実績 | 15社・59求人 |
| 活かしやすい分野 | 配線工事、設備設置、点検、修理、保守 |
| 目指せる職種例 | 電気工事士、設備保全、メンテナンスエンジニア |

4.土木施工管理技士
4つ目は、土木施工管理技士です。
土木施工管理技士は、道路、造成、基礎、コンクリート構造物などの土木工事について、工程・品質・安全などを管理する国家資格です。
電気業界と直接関係がないように見えますが、発電所、変電所、送電設備、地中線、風力発電所などを建設する際には、設備を支える基礎や造成、構内道路、地下構造物などの土木工事が必要です。
今回の調査では、15社・42求人で記載を確認しました。電力土木や再生可能エネルギー施設の建設、発電設備の新設・更新に関わりたい人に適しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載実績 | 15社・42求人 |
| 活かしやすい分野 | 発電所、変電所、送変電設備、造成・基礎工事 |
| 目指せる職種例 | 土木施工管理、電力土木、発電所建設、工事監理 |

5.技術士
5つ目は、技術士です。
技術士は、科学技術に関する高度な専門知識と応用能力、技術者倫理を示す国家資格です。
設計、計画、解析、技術評価、研究開発、技術コンサルティングなどで専門性を伝えやすくなります。
今回の調査では、12社・37求人で記載を確認しました。電気設備の設計や工事計画だけでなく、発電設備、プラント、土木構造物など、幅広い技術職で資格が挙げられています。
技術士には電気電子部門、建設部門、機械部門、原子力・放射線部門などがありますが、技術士であれば一律に評価されるわけではないため、求人が求める部門と自分の実務経験が合っているかを確認しましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載実績 | 12社・37求人 |
| 活かしやすい分野 | 設計、技術審査、技術提案、研究開発、コンサルティング |
| 目指せる職種例 | 設計エンジニア、技術コンサルタント、プロジェクトマネージャー |

6.エネルギー管理士
6つ目は、エネルギー管理士です。
エネルギー管理士は、省エネ法に基づき、工場や事業所におけるエネルギー使用の合理化を進めるための国家資格です。
今回の調査では、12社・30求人で記載を確認しました。工場やプラントの設備管理、エネルギー使用量の監視、省エネ改善、ユーティリティ設備の運用などで活かしやすい資格です。
なお、エネルギー管理士は資格の名称であり、エネルギー管理者は一定の工場などで選任される役割です。両者は同じ意味ではありません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載実績 | 12社・30求人 |
| 活かしやすい分野 | エネルギー管理、省エネ、設備改善、設備保全 |
| 目指せる職種例 | エネルギー管理担当、設備管理、ユーティリティ管理、技術コンサルタント |

7.TOEIC
7つ目は、TOEICです。
TOEICは厳密には資格ではなく、英語によるコミュニケーション能力を測定するテストです。採用時に英語力の目安として使う企業が多いため、本記事では技術資格とあわせて紹介します。
今回の調査では、11社・104求人でTOEICの記載を確認しました。掲載企業数では7位ですが、求人数は7資格の中でも多く、海外案件、調達、法務、経営企画、IT、研究開発、技術営業など幅広い職種で確認しています。
求人に記載された水準は500点程度から900点以上まで幅があり、600~800点前後を目安とするケースが中心でした。ただし、104求人すべてでスコアが必須なのではなく、歓迎条件や英語力の目安として記載した求人も含みます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載実績 | 11社・104求人 |
| 活かしやすい分野 | 海外プロジェクト、技術調整、調達、事業開発 |
| 目指せる職種例 | 海外プロジェクト担当、技術営業、調達、設計・開発 |

まとめ
電気業界で資格を選ぶときに重要なのは、ランキング上位の資格を順番に取得することではありません。
現場で電気工事を担当するのか、設備の保安を監督するのか、工事全体を管理するのかによって、選ぶべき資格は変わります。
まずは希望する職種の求人を複数確認し、繰り返し記載されている資格や級を整理してみてください。現在の経験と求人条件を照らし合わせることで、転職前に取得する資格と、入社後に目指す資格を分けやすくなります。
資格取得だけをゴールにせず、実務経験や安全管理、図面読解などの知識と組み合わせて説明できる状態を目指しましょう。
電気業界を目指す人によくある質問
- Q. 電気業界で一番おすすめの資格は何ですか?
-
一律に1つへ決めることはできません。
設備の保安・運用を目指す場合は第三種電気主任技術者、現場で電気工事を担当したい場合は第二種電気工事士、施工管理を目指す場合は電気工事施工管理技士が候補になります。
- Q. 資格なしでも電気業界へ転職できますか?
-
資格がなくても応募できる設計補助、営業、調達、施工管理補助などの求人はあります。
ただし、電気工事や保安監督など、資格がなければ担当できない業務もあります。未経験者は、資格取得支援制度や入社後の研修がある求人も確認するとよいでしょう。
- Q. 電気主任技術者と電気工事士の違いは何ですか?
-
電気主任技術者は、事業用電気工作物の保安を監督する資格です。
電気工事士は、配線や設備設置などの電気工事を行う資格です。保安監督と工事作業では役割が異なるため、希望する仕事に合わせて選びましょう。
- Q. 電気工事士と電気工事施工管理技士はどちらを取るべきですか?
-
自分で配線や設備設置などの工事を担当したい場合は、電気工事士が適しています。
工事の工程、品質、安全、協力会社などを管理する立場を目指す場合は、電気工事施工管理技士が候補になります。
- Q. TOEICは104求人あるのになぜ7位ですか?
-
今回のランキングは、1社が多数の求人を掲載した場合の影響を抑えるため、求人数よりも掲載企業数を優先しています。
TOEICは104求人で確認できましたが、掲載企業数は11社だったため7位となりました。
※資格制度の説明は、電気技術者試験センター、建設業振興基金、国土交通省、文部科学省、省エネルギーセンター、IIBCの公開情報を参照しています。

