【2026年版】一陸技の難易度は?合格率・科目別の難しさを解説
一陸技(第一級陸上無線技術士)は、放送局や通信事業者の基地局など、無線設備に関する高度な技術操作を行える国家資格です。
試験では、電気回路、無線設備、アンテナ、電波伝搬、法規などが幅広く問われます。
受験を検討しているものの、「一陸技はどれほど難しいのか」「独学でも出来るのか」「理系でなければ合格できないのか」と気になっている人も多いでしょう。
本記事では、一陸技の難易度と合格率を、総務省や日本無線協会の公表資料をもとに解説します。難しいといわれる理由や科目別の特徴についても紹介します。

一陸技の難易度は高い
一陸技は、簡単に取得できる資格ではありません。無線工学の専門性では、無線従事者資格の中でも最高水準の難易度です。
難易度を判断する主な材料は、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 令和6年度の合格率 | 24.0% |
| 試験科目 | 無線工学の基礎、無線工学A、無線工学B、法規 |
| 問題数 | 合計95問(全科目受験の場合) |
| 合格基準 | 4科目それぞれ60%以上 |
| 試験時間 | 2日間で合計9時間30分(全科目受験の場合) |
| 受験資格 | 年齢・学歴・実務経験の制限なし |
| 科目合格 | 合格科目の試験日の翌月初日から3年以内に実施される一陸技試験で、申請により免除 |
難しいのは、電気・電子・通信に関する範囲が広いだけでなく、問題の条件に合う公式を選び、手計算する力まで求められるためです。4科目すべてで合格基準を満たす必要があるため、得意分野だけに頼ることもできません。
一方、試験は多肢選択式で、合格基準は各科目60%です。
合格科目は所定期間内の一陸技試験で申請により免除(3年間)されるため、試験内容を理解する難しさは高いものの、適切に準備すれば段階的に合格を目指せます。

一陸技の合格率は24.0%
一陸技の最新の公式合格率は、総務省が公表している年度集計で確認できます。
最新の受験者数・合格者数
2026年9月15日時点で、総務省が公表している最新の年度集計は令和6年度です。令和6年度の一陸技の合格率は24.0%で、受験者のおよそ4人に1人が合格した計算になります。
| 項目 | 令和6年度 |
|---|---|
| 申請者数 | 6,948人 |
| 受験者数 | 5,914人 |
| 合格者数 | 1,420人 |
| 合格率 | 24.0% |
| 全科目免除者数 | 59人 |
出典:総務省「無線従事者試験の実施結果(令和6年度)」
令和6年度は、2024年7月期と2025年1月期を合わせた年度集計です。2025年1月期だけの結果や、2025年1月期と7月期を合わせた暦年の結果ではありません。
総務省の注記によると、申請者数、受験者数、合格者数には全科目免除者が含まれておらず、表の59人は、国家試験を受けずに全科目免除となった人数として別に集計されています。
近年の合格率推移
一陸技の合格率は年度によって変わります。直近5年度の推移は次のとおりです。
合格率の推移
令和2〜6年度
| 年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和2年度 | 5,428人 | 1,456人 | 26.8% |
| 令和3年度 | 7,292人 | 1,847人 | 25.3% |
| 令和4年度 | 6,977人 | 1,536人 | 22.0% |
| 令和5年度 | 6,095人 | 1,262人 | 20.7% |
| 令和6年度 | 5,914人 | 1,420人 | 24.0% |
出典:総務省「資格・試験」の各年度公表値をもとに作成
直近5年度は20.7~26.8%で推移しており、すべて20%台です。令和6年度は前年度より3.3ポイント上がりましたが、長期的に易しくなっていると判断できるほど一方向の動きではありません。
日本無線協会の令和7年度事業報告では、一陸技の申請者数6,667人が公表されています。
ただし、受験者数、合格者数、合格率は掲載されていません。そのため、本記事では申請者数から合格率を推測せず、総務省が公表する令和6年度の24.0%を最新値としています。
合格率を見るときの注意点
一陸技には科目合格制度があり、過去に合格した科目の免除を申請して受験する人もいます。
したがって、24.0%を「初受験者が4科目すべてに一度で合格した割合」と読み替えることはできません。
また、一陸技には受験資格がありません。十分に準備した人だけでなく、学習途中の人も受験者に含まれます。一方で、電気・電子系の学生や通信分野の実務経験者も受験するため、合格率だけで自分の合否を予測するのも適切ではありません。
他にも、資格スクールなどが示す合格率は、その講座の受講者を対象とする場合があるため、全国の合格率と分けて確認しましょう。
一陸技が難しいといわれる4つの理由
一陸技が難しいのは、単に合格率が低いからではありません。
出題範囲の広さや計算問題、科目ごとの合格基準、長い試験時間が重なっています。
無線工学3科目の出題範囲が広い
一陸技では、「無線工学の基礎」「無線工学A」「無線工学B」と「法規」の4科目が実施されます。工学だけでも、電気物理、電気回路、半導体、送受信機、通信方式、アンテナ、電波伝搬、測定など、出題分野は広範囲です。
無線従事者規則では、一陸技の工学3科目について、理論、構造、機能、保守、運用などの「詳細」を問うと定めており、用語の意味だけでなく、設備の仕組みや数値の関係まで理解する必要があります。
計算問題を電卓なしで解く必要がある
無線工学では、回路、増幅、変調、利得、電界強度などに関する計算問題が出題されます。問題文から条件を読み取り、使う公式を選び、単位をそろえて計算しなければなりません。
数値だけを入れ替えた問題なら公式の暗記で対応できる場合もありますが、回路や図の条件が変わると解けなくなることがあります。
式が成り立つ条件と、各数値が表す意味を理解しておくことが大切です。
さらに、試験中は電卓などの計算器具を使用できません。指数、対数、三角関数、複素数などを使う問題も、式を整理して手計算できる力が求められます。
4科目それぞれで60%以上が必要
一陸技の合格基準は、4科目それぞれ60%以上です。科目ごとの問題数、満点、合格点は次のように定められています。
| 科目 | 問題数 | 満点 | 合格点 |
|---|---|---|---|
| 無線工学 |
25問 | 125点 | 75点 |
| 無線工学A | 25問 | 125点 | 75点 |
| 無線工学B | 25問 | 125点 | 75点 |
| 法規 | 20問 | 100点 | 60点 |
出典:日本無線協会「資格別・科目別試験問題数と試験時間」「国家試験の合格基準」
4科目の合計点ではなく、すべての科目で個別に合格点を取る必要があります。ほかの科目で高得点を取っても、1科目でも合格点に届かなければ、その試験期に完全合格とはなりません。
そのため、苦手科目を放置できず、工学と法規を偏りなく仕上げる必要があります。得意科目の点数で苦手科目を補えないことが、一陸技の難しさの一つです。
2日間で合計9時間30分の試験がある
科目免除がない場合、一陸技は2日間で4科目を受験します。無線工学の基礎、無線工学A、無線工学Bは各2時間30分、法規は2時間で、合計試験時間は9時間30分です。
1問ずつ条件を確認しながら計算し、見直しまで行う集中力が必要です。自宅では科目ごとに解けていても、長時間の試験では計算ミスや読み違いが増える可能性があります。

科目別に見る一陸技の難易度
日本無線協会は、全国の科目別合格率を公表していません。そのため、最も難しい科目を一つに断定することはできず、数学、回路、装置、暗記などの得意不得意によって負担が変わります。
各科目で問われる内容と、難しさの種類を整理すると次のとおりです。
| 科目 | 主な出題分野 | 難しさの種類 |
|---|---|---|
| 無線工学 |
電気物理、電気回路、半導体、電子回路、測定 | 数式と回路を理解する力 |
| 無線工学A | 送受信機、変調・復調、電源、通信方式、測定 | 装置の構成と信号の流れを理解する力 |
| 無線工学B | アンテナ、給電線、電波伝搬、測定 | 図と数値の関係を整理する力 |
| 法規 | 電波法と関係法令 | 似た規定や条件を正確に区別する力 |
無線工学の基礎
無線工学の基礎では、電気物理、電気回路、半導体・電子管、電子回路、電気磁気測定などが問われます。名前のとおり工学A・Bを理解する土台になるため、ここでつまずくとほかの科目の計算問題も進めにくくなります。
電磁気や交流回路に慣れていない人は、公式の種類が多いと感じやすいでしょう。数学の難問を解くというより、式の変形、複素数、三角関数、対数などを無線工学の条件に合わせて使う点に難しさがあります。
無線工学A
無線工学Aでは、送信機、受信機、電源、変調・復調、デジタル通信、雑音、測定など、無線設備の構成や動作が問われます。
装置名を暗記するだけでなく、入力された信号が各回路でどのように変化するかを理解しなければなりません。ブロック図の一部や条件が変わっても、それぞれの装置の役割から正誤を判断する力が必要です。
無線工学B
無線工学Bでは、アンテナ、給電線・導波管、電波伝搬、測定などが中心です。アンテナの形状や指向性、距離や周波数による電波の変化を、図と数式の両方から捉える必要があります。
dB、電力比、電圧比、利得、損失、角度、単位変換などを同時に扱う問題では、途中の小さなミスが正答に影響します。現象の意味を理解したうえで、必要な数値だけを式へ入れる力が求められます。
法規
法規では、電波法や関係法令にもとづき、無線局の免許、無線設備、運用、監督、無線従事者などが問われます。工学3科目に比べて計算は少ないものの、似ている用語や数値、義務を負う人を正確に区別しなければなりません。
過去問と近い表現が出ても、主語、条件、期間などを変えた選択肢では正誤が逆になる場合があります。古い過去問は法令改正の影響を受ける可能性があるため、現在の法令と照らし合わせることも大切です。

一陸技の難易度を他資格と比較
一陸技と名前や分野が近い資格には、一陸特、二陸技、一総通などがあります。電験三種と比べて検索されることもありますが、試験分野や資格の目的が異なるため、合格率だけで単純に並べることはできません。
| 資格 | 一陸技との難易度の違い |
|---|---|
| 一陸特 (第一級陸上特殊無線技士) | 一陸技より出題範囲と操作範囲が限定されるため、一般に一陸技の方が難しい |
| 二陸技 (第二級陸上無線技術士) | 同じ4科目を受験するが、一陸技は工学分野の「詳細」まで問われ、資格の操作範囲も広い |
| 一総通 (第一級総合無線通信士) | 科目数と試験範囲では一総通の負担が大きい。一方、無線従事者規則では、一陸技の工学分野に「詳細」と明記されている |
| 電験三種 (第三種電気主任技術者) | 電力設備を扱う別分野の資格であり、科目構成や受験者層が違うため単純な上下比較はできない |
無線従事者規則では、一陸技の工学3科目に「詳細」と記載されている一方、二陸技の同じ項目には「詳細」と記載されていません。
二陸技も難しい資格ですが、より深い無線工学の知識を問われるのは一陸技です。
一陸特や二陸技を取得しなければ、一陸技を受験できないわけではありません。一陸技を受験するための前提資格はないため、必要な操作範囲や将来の仕事に合わせて選びましょう。
まとめ
一陸技は、無線工学の専門性では最高水準にある難関資格です。しかし、これまでの学習経験によって感じ方が変わるため、合格率だけで判断する必要はありません。
まずは公式の過去問を1科目分解き、得点だけでなく、解説を読んで解き方を理解できるか確認しましょう。
理解できる問題が多ければ過去問演習を中心に、難しい分野が多ければ基礎から復習し、科目合格制度も活用して無理のない計画を立てることが大切です。
一陸技の難易度に関するよくある質問
- Q. 一陸技は大学レベルの資格ですか?
-
A. 公式に「大学レベル」と定められているわけではありません。ただし、電気回路、電子回路、電磁気、アンテナなど、大学や高専の電気・電子系で扱う内容と重なる分野があります。学歴よりも、試験範囲を理解して各科目の合格点を取れるかが重要です。
- Q. 一陸技で一番難しい科目はどれですか?
-
A. 全国の科目別合格率は公表されておらず、一つに断定できません。数学や回路が苦手な人は無線工学の基礎、装置の仕組みが苦手な人は無線工学A、アンテナや電波伝搬が苦手な人は無線工学Bに負担を感じやすいでしょう。
- Q. 一陸技は過去問だけで合格できますか?
-
A. 電気・電子・通信の基礎があり、計算過程や選択肢の根拠まで自分で確認できる人は、過去問中心でも合格を目指せます。解説を読んでも式の意味が分からない場合は、科目別テキストを併用しましょう。
- Q. 一陸技の科目合格は何年間有効ですか?
-
A. 合格した科目の試験が行われた月の翌月初日から、3年以内に実施される一陸技の試験で、申請により免除を受けられます。免除は自動ではないため、受験申請時に手続きが必要です。
- Q. 高校生でも一陸技を受験できますか?
-
A. 受験できます。一陸技には年齢、学歴、実務経験などの制限がありません。
参考資料
- 総務省「資格・試験」
- 総務省「無線従事者試験の実施結果(令和6年度)」
- 日本無線協会「令和7年度事業報告」
- 日本無線協会「資格別・科目別試験問題数と試験時間」
- 日本無線協会「国家試験の合格基準」
- 日本無線協会「令和8年度 陸上無線技術士国家試験案内」
- 日本無線協会「国家試験についてのFAQ」
- e-Gov法令検索「無線従事者規則」
※合格率や試験制度は更新される場合があります。受験前に、総務省と日本無線協会の最新情報を確認してください。
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