MathWorks認定資格「Certified Simulink Associate」で就職できる仕事とは?年収・将来性まで徹底解説【2026年版】
Certified Simulink Associateは、Simulinkを用いたモデリングやシミュレーションに関わる民間資格です。
自動車やロボット、航空・宇宙などのモデルベース開発で活かせる資格と言われていますが「就職や転職にどう活かせるのか」「年収はどの程度か」「将来も需要があるのか」と疑問を持つ人は少なくありません。
本記事では、Certified Simulink Associateで就職できる仕事の具体像、年収水準、将来性までをわかりやすく解説します。

Certified Simulink Associateとはどんな資格?
Certified Simulink Associateは、MATLABを開発・提供するMathWorksが認定する民間資格です。MathWorksは「Simulinkのアソシエイトレベルの習熟度を証明する認定」と位置づけています。
Simulinkは、ブロック線図を使ってシステムの動きをモデル化し、設計段階でシミュレーションや検証を行うための開発環境で、自動車、ロボット、産業機械、航空・宇宙などの制御開発やモデルベース開発(MBD)で利用されています。
国家資格ではなく、Simulinkという特定の開発環境に関する能力を示すベンダー資格です。取得者にはデジタル認証が提供され、オンラインプロフィールなどで学習成果を提示できます。
試験は2時間、42問の多肢選択問題が出題されます。主な試験範囲は、「モデリング」「シミュレーション」「モデル構成」「モデル・シミュレーションデータ」の4分野です。

具体的には、連続・離散システム、サンプル時間、ソルバー、サブシステム、モデル参照、パラメータ設定、データの入出力・比較などが問われます。これは、単にブロックを配置するだけでなく、それぞれの設定がシミュレーション結果に与える影響を理解する必要があります。
この資格は実務経験の代わりになるものではないですが、「Simulinkを体系的に理解し、モデル作成やシミュレーションに必要な基礎能力を身につけていること」を客観的に証明する資格と考えるとよいでしょう。
Certified Simulink Associateで就職できる主な仕事
Certified Simulink Associateは、Simulinkを利用したモデリングやシミュレーション能力を示す資格として、自動車、ロボット、産業機械、航空・宇宙などの制御開発で活かされます。
ここでは、代表的な職種を紹介します。
※年収はいずれもCertified Simulink Associate取得者だけを集計した数字ではなく、厚生労働省のjob tagに掲載された近い職種の統計です。
1. 制御・MBDエンジニア
1つ目の職種は、制御・MBD(モデルベース開発)エンジニアです。
自動車やロボット、産業機械、航空・宇宙機などの制御システムを対象に、制御ロジックのモデル化、シミュレーション、動作検証などを行います。
Certified Simulink Associateで証明できるモデル作成、連続・離散システム、サンプル時間、ソルバー、モデルの階層化などの知識は、こうした業務の基礎として活かせます。
就職時には、資格に加えて制御工学や機械・電気電子工学の知識、担当業務によってはStateflow、C・C++、MIL・SIL・HILの経験も評価されます。
近い職種の全国平均年収
725万4,000円 ※自動運転開発エンジニア(自動車)
2. MILS・HILSシミュレーション/検証エンジニア
2つ目の職種は、MILS・HILSシミュレーション/検証エンジニアです。
MILSでは制御モデルと対象システムのモデルをコンピューター上で動かし、制御ロジックを検証します。HILSでは実際のECUをシミュレーターに接続し、より実機に近い環境で動作を確認します。
Certified Simulink Associateで証明できる連続系と離散系、サンプル時間、ソルバーなどの知識は、モデルの動作や検証条件を正しくしく理解するための基礎になります。
ただし、資格によってMILS・HILS環境の構築能力まで証明できるわけではありません。就職時には、テスト仕様の作成、不具合の原因分析、ECUや車載ネットワーク、検証ツールなどの知識も必要です。
近い職種の全国平均年収
578万5,000円 ※「デバッグ作業」の統計
3. 組み込み制御ソフトウェアエンジニア
3つ目の職種は、組み込み制御ソフトウェアエンジニアです。
自動車やロボット、産業機器などに搭載する制御ロジックをSimulinkでモデル化し、シミュレーションによって動作を検証します。企業によっては、モデルからCコードを生成してECUへ実装します。
Certified Simulink Associateで証明できる信号、パラメーター、サブシステム、モデル参照、シミュレーションデータなどの知識は、モデルベースでソフトウェアを開発するための基礎になります。
ただし、コード生成や組み込み開発全体の技能を証明する資格ではありません。就職時には、C・C++、組み込みOS、AUTOSAR、コード生成、機能安全などの知識や経験も評価されます。
近い職種の全国平均年収
578万5,000円 ※「システムエンジニア(組込み、IoT)」の統計
4. 航空・宇宙の制御開発エンジニア
4つ目の職種は、航空・宇宙の制御開発エンジニアです。
航空機や無人機、eVTOL、ロケット、人工衛星などを対象に、機体や推進システムのモデル作成、制御アルゴリズムの設計、シミュレーション、MILS・HILSによる検証などを行います。
Certified Simulink Associateで証明できるモデル作成、ソルバー設定、モデルの階層化、シミュレーションデータの管理などの知識は、制御アルゴリズムをモデル上で評価・検証する業務に活かせます。
就職時には、資格に加えて航空工学や制御工学、機械・電気電子工学、安全性・信頼性を考慮した設計・検証経験なども重要です。
近い職種の全国平均年収
659万円 ※「航空機開発エンジニア(ジェットエンジン)」の統計
Certified Simulink Associateの年収目安
Certified Simulink Associateを活かせる仕事の年収は、資格そのものではなく、制御工学などの専門知識、Simulinkの実務経験、担当工程、勤務先によって大きく変わります。
現在のMATLAB/Simulink関連求人を基準にすると、以下が一つの目安です。
| 職種・業界 | 年収目安 |
|---|---|
| 制御・MBDエンジニア | 450万~900万円程度 |
| MILS・HILSシミュレーション/検証 | 450万~800万円程度 |
| 組み込み制御ソフトウェア | 450万~900万円程度 |
| 航空・宇宙・先端モビリティ制御 | 550万~1,100万円程度 |
未経験者の場合、資格を取得しただけで年収600万~800万円のMBD経験者求人へ入れるわけではありません。新卒や第二新卒、若手エンジニアとして実務経験を積むところから始めるケースが中心です。
一方、Simulinkを利用した制御開発経験がある人では500万~800万円程度、さらにMILS・HILS、制御設計、プロジェクトリードなどの経験を持つ人では700万~1,000万円以上も視野に入ります。
ここからの市場価値は、実際にどのようなモデルを設計し、どの工程を担当してきたかによって大きく変わります。
Certified Simulink Associateの将来性
Certified Simulink Associateは、MBDやシミュレーションを利用する製造業では今後も活かしやすい資格です。
2026年現在も、自動車メーカーやエンジニアリング会社でMATLAB/Simulinkを利用する制御・MBD求人が多数確認できます。
特に電動化、ADAS、自動運転などでは、実機試験だけに頼らず、MILS・HILSなどを利用して設計段階から検証する開発プロセスが重要になっています。
自動車以外でも、ロボット、産業機械、航空・宇宙など複雑な制御システムを扱う分野では、モデルベースで設計・検証する考え方を活用できます。
一方、AIによってSimulinkを使う仕事の一部も効率化されるでしょう。モデルのたたき台作成、パラメータ設定支援、テストケース作成、エラー原因の特定などは、自動化される可能性があります。
しかし、モデルを作る目的そのものを決めたり、物理現象をどの精度でモデル化するか判断したり、シミュレーション結果が実機の挙動として妥当か評価したりするには、制御対象に関する専門知識が必要です。
特に自動車や航空・宇宙では、安全性や品質に直接関係するため、「モデルが動いたから正しい」と判断することはできません。
そのため今後は、Simulinkの操作だけができる人よりも、「制御工学+Simulink」「車両工学+Simulink」「航空・宇宙工学+Simulink」のように、対象分野を理解したうえでモデルを設計・評価できる人材の価値が高くなるでしょう。
Certified Simulink Associateはこんな人におすすめ
Certified Simulink Associateは、自動車、ロボット、航空・宇宙、産業機械などの制御・MBD分野を目指し、Simulinkのスキルを就職活動で客観的に示したい学生や若手技術者におすすめです。
特に、大学や大学院で機械、電気電子、制御、ロボットなどを専攻し、授業や研究でSimulinkを使ったモデル作成やシミュレーションを経験している人とは相性が良いでしょう。
また、すでに仕事でSimulinkを使用している若手エンジニアや、これから制御開発・MBDに関わるために、Simulinkの知識を体系的に学び直したい人にも向いています。
試験勉強を通じて、モデル構築、信号の管理、サブシステム、ソルバー、シミュレーション結果の確認などを学べるため、自分が理解できていない分野を確認するための目標としても活用できます。
まとめ
Certified Simulink Associateは、Simulinkを使ったモデル作成、シミュレーション、モデルの階層化、信号・データ管理などの習熟度を証明するMathWorks公式の民間資格です。
就職や転職では、制御・MBD、MIL・SIL・HILによるモデル検証、組み込み制御ソフトウェア開発、航空・宇宙など、Simulinkを利用する技術職で活かすことができます。
ただし、資格そのものを必須とする日本企業は多くなく、実際の求人ではMATLAB/Simulinkの実務経験に加え、制御工学、モデル設計、組み込み開発などの専門知識が重視されます。
そのため、就職前の学生や実務経験の浅い人には、「Simulinkを体系的に学んでいることを客観的に証明する資格」として価値があります。学習内容や制作したモデルと併せて示すことで、スキルをより具体的に伝えられます。
一方、すでに実務経験がある人は、資格取得だけで満足するのではなく、MIL・SIL・HILによる検証や量産開発の経験を深め、MATLABやC/C++、対象分野の知識と組み合わせることで市場価値を高めることが重要です。
よくある質問
- Q1.国家資格ですか?
-
Certified Simulink Associateは国家資格ではなく、Simulinkを開発するMathWorksが認定する民間のベンダー資格です。Simulinkの習熟度を公式に証明する資格で、取得者にはデジタル認証も提供されます。
- Q2.未経験でも受験できますか?
-
18歳以上であれば受験でき、実務経験や学歴、前提資格は求められていません。
MathWorksのトレーニングコースも必須ではありません。ただし、試験ではモデル化、ソルバー、サンプル時間、サブシステムなどSimulink特有の知識が問われるため、事前学習は必要です。
- Q3.就職や転職に有利な資格ですか?
-
資格だけで就職が保証されるわけではありません。
日本の制御・MBD求人では、資格名そのものよりMATLAB/Simulinkの実務経験や制御工学の知識が求められるケースが中心です。ただし、学生や未経験者にとっては、Simulinkの基礎能力をMathWorks公式資格として証明できる点に取得価値があります。
- Q4.Certified MATLAB Associateとの違いは何ですか?
-
Certified MATLAB Associateは、MATLABを使ったプログラミング、数値計算、データ処理、可視化などを証明する資格です。
一方、Certified Simulink Associateは、ブロック線図を使ったモデル化、シミュレーション、モデル階層化などを証明します。MBD・制御開発を目指す場合はSimulink Associate、MATLABによる解析・プログラミング能力を証明したい場合はMATLAB Associateとの相性が良いでしょう。
- Q5.将来も役立つ資格ですか?
-
自動車、ロボット、航空・宇宙など、MBDや制御シミュレーションを利用する分野では今後も活かしやすい資格です。AIによってモデル作成や検証作業の一部は効率化される可能性がありますが、制御対象を理解し、モデルの妥当性や安全性を判断するには専門知識が必要です。そのため、資格取得後は制御工学、MILS・HILS、Stateflow、組み込みソフトウェアなどへスキルを広げることで、より長期的に活かしやすくなるでしょう。
